HOME | 対話の旅 | 14年前、ひとつの誤解から 不思議とつながった
 

14年前、ひとつの誤解から
不思議とつながった

 はじまり 

 
はじめての依頼は、同級生から紹介してもらった不動産屋さんでした。
 
会った初日、
「ネットのことはよく分からないから、小坂さんに任せるよ」
そう言っていただき、胸が高鳴ったのを覚えています。
自分の力を試すチャンス。そう意気込んで制作にとりかかりました。
ただ振り返ると、彼は創業当初とても忙しかった。
日々の業務に追われながら、努力していた彼に、私は遠慮してしまった。
「時間を奪うのは悪いことだ」
そう考え、方向性を曖昧にしたまま進めてしまった。
それが大きな落とし穴でした。
 
─ 2週間後 ─

「名刺のイメージで作ってみたけど、どーお?」
「う~ん、何か思ってたのと違うなあ」
「それなら、参考になるサイト教えてよ」
やりとりは表面的でしたが、私は「進んでいる」という手応えを感じていました。参考サイトを頼りに色彩や外見を調整し、修正を繰り返しました。
 
─ さらに後日 ─

「おおっ、いいんじゃないですか」
その一言で安心し、胸をなで下ろしました。しかし、その安堵は長くは続きませんでした。

 誤解 

※白い囲いからカーソルが飛ぶと閉じます。

─ さらに1ヶ月後 ─
 
携帯が鳴りました。
「ぜんぜん問い合わせこないから、作り直しましょう。こういうサイトがあって、ここの感じがどうのこうの‥」
 
その瞬間、胸の奥で何かが弾けました。
「おたくがこういう風に作ってくれって言ったんじゃないか!何回も作り直して、どれだけ時間かかったと思ってんだよ!」
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
感情あらわに、思わず口を突いてしまった。今思えば、本当に情けない態度です。
しかし、ここからが本当の意味での「制作の始まり」でした。
ここからわたしがどういう風に彼にアプローチし直したかは覚えていませんが‥(たぶん飲んで言い合ったと思う)
 
彼がなぜ会社を立ち上げたのか。
どんな価値観で人と向き合い、どんな未来を描いているのか。
その背景を少しずつ知っていくうちに、私の視点も変わっていきました。
 
「誤解」は一見すると失敗ですが、じつは相手を理解する扉でもあったのです。
あの時ぶつかり合いがなければ、私たちの関係は浅いままだったでしょう。 

 信頼 

※白い囲いからカーソルが飛ぶと閉じます。

 
「任せっぱなしは、誤解を生む」この教訓は、今でも仕事の柱です。
 
制作は単に「デザインを納品する作業」ではありません。目的を共有し、互いに理解を積み重ねてこそ、初めて価値ある成果が生まれる。
 
今では、相手の状況を必ず確認します。
中途半端に進めるくらいなら、立ち止まり、待つ勇気を持つ。
緊張感を持ちつつ、信頼を軸に進める。
 
そうした関係が築けるようになったのは、あのときの「誤解」があったからです。
 
15年後、私にとって、「待つ」は大切な選択です。
 
中途半端な段階で、実行してはいけない。

時間を無駄にしないためにも肝に銘じます。
 
 
この経験から得た教訓は、今でも中心にあります。
 
「任せっぱなしは、誤解を生む」
 
制作は単に「デザインを納品する作業」ではありません。目的を共有し、互いに理解を積み重ねてこそ、成果物として価値がある。当たり前のことですが、そう思うようになりました。
 
今は、相手の状況を必ず確認します。
仕事で大変じゃないか、私生活はどうか、ホームページ制作は最後の最後でいいじゃないか。
 
小さな確認が、大きな信頼につながる。
 
もちろん、慣れ合いは禁物です。
甘えを生まないよう、緊張感を持ちつつ、信頼を軸に進める。
そうした関係が築けるようになったのは、あの「誤解」の経験があったからです。
 
中途半端に進めるくらいなら、立ち止まり、待つ。
 
14年後、それは単なる制作の心得ではなく、生き方そのものに変化しました。
「待つ=信頼そのもの」

 まなび 

※白い囲いからカーソルが飛ぶと閉じます。
 

わたしは、待つことの尊さを学びました。
 
待つとは譲るに通じるところがあります。
わたしは、早く作らなきゃと、心に余裕がなくなり、仕事ファーストになり、人間関係の大事なところをないがしろにした。
状況に応じた判断ができなかった。
 
いまは些細なことでも、待つ習慣をつけるよう心がけています。
信号を待つにしても、人の返答にしても、とにかく急かさず、辛抱強く待つ。
 
普段待てない人間が忍耐強くなれるわけがない。
 
待てば海路の日和あり
 
仕事も人生も、習慣の積み重ねで、形が整ってくると今さらながら思います。
 
今、急いで動きますか? それとも、状況を睨みながら待ちますか?

 
© 2025 kosakatakeshi shoten inc.(有限会社小坂武商店)